本田翼、山本美月のW主演で映画化され、SMAPの稲垣吾郎が出演しているとして注目を集めた、湊かなえの同名小説「少女」だが、どうも映画の評価をみると、原作とは少し違うようだ。
ラスト4ページに隠された衝撃の禁じ手とは→ ranking
少女 [ 湊かなえ ]
−死に引き寄せられる少女たちが見たものとは…
本作は、「告白」「Nのために」「夜行観覧車」など数々の問題作を世に送り出した湊かなえの2作目である。
こちらも良作!→夜行観覧車(湊かなえ)レビュー
余談だが、これまで、湊かなえは学校が舞台の作品(「告白」や「高校入試(脚本&小説)」など)に多くたずさわっていたので、てっきり元教員だと思っていたが、家庭科の教師以外にも、アパレルメーカー勤務、青年海外協力隊で海外へ行ったりと、なかなかおもしろい経歴をお持ちのようだ。
さて、今作の「少女」だが、学校ではクールだが、家庭では地獄のような日々に悩まされている桜井由紀と、剣道部のエースで将来有望だったのだが“あること”が原因で挫折し、心に深い傷を負ってしまった草野敦子の2人が主人公。
そして、そこに複雑に絡み合う人達が、お互い間接的に(時には意識的に)攻撃しあい蜘蛛の糸に絡め取られるように死に引き寄せられていくという恐ろしいストーリーだ。
本作は物語が複雑で難解な上に、とある少女の遺書からスタートするというかなり重苦しい内容なので、読み手にもある覚悟が必要となる。
それは、物語の中を一貫して流れる“わけのわからない気持ち悪さ”との対峙だ。
リンゴを縦に切るようなスパッとした分かりやすさや、体を派手にぶつけて傷を負った時のような痛みはなく、まるで口の中にできた口内炎のように、触りたくてしょうがない不思議な感覚が最後まで続く…。
「人の死ぬところを見たい」という2人の少女の“友情的”物語のバックで進むのは、追い詰められて自ら命を絶った他の少女の物語である。
本来なら主軸になりうる“事件”が伏線として流れるという皮肉な作品であるがゆえに、“正論”だけでは片付けられない部分が多々あるのも、本作の見どころだ。
そして、読み手が感じる恐怖をあざ笑うかのように、迷いなく走り続ける少女達が話す言葉や心の声が発する生臭いニオイを、時間の流れが消臭スプレーのように“サッと”消してしまうのがより残酷なムードを高めている。
また、最初の違和感に耐えることができれば一気に読めてしまうほど面白く、重苦しい雰囲気でもサクサク読めるように、視点が切り替わるマルチアングル構成になっているなど、様々な趣向が凝らしてあるので読みやすい。
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少女 [ 湊かなえ ]
特に同じシーンでも、違う人物の視点からだと全く別の出来事のように語られるので、読んでいて飽きることがない作品だ。
そして、ラストはお約束?の湊かなえ節が炸裂する。
他の作品と違い、爽やかな青春ストーリーとして終わるかと最後のページをめくる頃、再び現れた遺書の後半で明かされる残酷な真実で、読者は再び奈落の底に落とされるのだが…それは読んでのお楽しみ。
(くれぐれも最後から読まないように)
また、物語が複雑なので、二回、三回と読む度に新しい発見があるので、長く楽しめる小説となっておりコスパも高い。
寒い季節に、温かい家の中でじっくり読みたい人にはピッタリの一冊だ。
映画版「少女」はまだ観ていないが、SMAPの稲垣吾郎が演じる(高雄孝夫;たかお たかお)は物語のカギを握る役で、小説の中では“おっさん”と呼ばれているのだが、どんな演技をしているのかが非常に気になるところである。
左手もキーポイント!
少女 [ 湊かなえ ]
最後までお読み頂きありがとうございました。
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